2019.6.8
空港ウォーキン
ある日のことだった。
『 ケンシ いくぞっ!』
いつものように井草の田んぼから戻ってきた親父は、
庭先でひとりオモチャで遊んでいた、当時まだ3歳だった僕をそう呼びつけると
泥だらけの長靴姿のまま、軽トラックの運転席に乗り込んだ。
また近所のガソリンスタンドにでも連れていかれるのかと思いきや、
自宅から1時間以上かけて地元の空港(阿蘇くまもと空港)へ。
そのまま一緒に飛行機に乗って大阪伊丹空港まで行き
着くや否や、何することもなく、すぐに戻りの便に乗って帰ってきた。
そう、
親父は突然ぶっきらぼうに、僕へ飛行機に乗る初体験をプレゼントしてくれた。
その時に受けた衝撃、感動といったらとてつもなかった・・・
それ以来、姉たちからは「弟だけズルい!」という声を浴びせられている・・・(笑)
5歳になると、家族皆で関東へ移り住むことになり
特に小学生のうちは熊本との実家を、飛行機で頻繁に往復する生活を送っていた。
そんな経験もあって、いつの間にか空港の雰囲気そのものが
自分にとって大切な『 原風景 』になっていた。
大人になった今、たまたま空港(福岡空港)のそばに暮らしていて
そんな幼い頃を思い出しながら、毎日ベランダから離発着する機体を眺めている。
それに、週に2~3回くらいは
仕事の合間をみて空港の敷地をぐるっと1周歩くことが習慣だ。
( 時速6.8km/h × 1時間40分 ≒ 道のり11.3km )
頭の中を空っぽにして、原風景を突き進むって気持ちがいい。
ウォーキングから戻って、妻に
『 あの辺の土地に家を建てたら、毎日飛行機が眺められるよ。素敵だよね~? 』
と言ってみると
『 騒音がすごくて住めるわけないでしょっ! 』 と、一蹴される。