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2021.9.1

思うこと

描き方

 

一昨日の夜、就寝前にスマホで面白そうな対談動画を見つけて
珍しく夜ふかししてしまった・・・

 

『 松本人志さん × 庵野秀明さん 』(45分×2エピソード)
※某大手、月額制動画閲覧サービスにて

 

なかでも、
庵野さんが松本さんへ仰られていた多くの言葉が胸に響いたので、少しだけご紹介~

 

 

—–以下、動画内での庵野さんのコメント—–
(この時の話題は、映画監督の立場である庵野さんの作品の描き方について)

作品世界において、まず「何を描くのか」といったときに、4つのコトに大別されると思うんです。

 ① 出資者が望むコト
 ②(現代社会において)いま描かなければならないコト
 ③ 観客が望むであろうコト
 ④ 監督の自分が描きたいコト

映画をつくることって、ビジネス(興行)が大前提にあるので
一度上映されれば、必ず売上げによって製作費を回収しなければならないでしょ。
(作りっぱなしでは駄目、そこの重大な責任を負っている)

よって①②③は必ず作品に反映しなければならない。特に①は筆頭かつ必須。
作品の評価に繋がる可能性は出来るだけ上げておく、という考え方なんです。

一方で①②③は、映画監督である自分には全くコントロールできない部分でもある。

唯一コントロールできる④は、実のところ優先順位としては最下位にあって
もし自分の描きたいこと、やりたいことがあれば作品のどこかに、
こっそりと気付かれないように忍ばせる程度かなぁ~。

—— 以 上 ——

 

 

うんうん、そうですよね。強く共感します!

 

建築設計の世界も同じようなもの。まさに経済活動の一端。
 
例えば、私がいま直面している建築(住宅)設計で言い換えると、こうなる。

 ① 出資者(クライアント・住まい手)が望むコト
 ②(現代社会において)いま描かなければならないコト
 ③ 建築家の自分が描きたいコト

①は最優先、②はその次に優先的に建築へ反映されるべきことで、
③は一番最後に申し訳程度で付け加えられる。

映画も建築も、作品を見る側からすると「結局、作者自らがやりたいことを最優先させてるんでしょ~ 」
なんて誤解されがちだ。

確かに、見る側からすれば作品全体を通して「作者が伝えたいこと」として受け止めるのが自然だろう。
ストーリーを見ながら、同時にメイキング時の作者心理まで深読みして見抜くことは難しい。
あとから何度か見返した時に、ようやく作者の意図がみえてくるというもの。

 

 

だけど、これは断言してもいい。

創作活動のほとんどは、経済活動の内側にある。

経済活動である以上、
作者の多く、とりわけ作家など、より探求心を備えている者たちは
自身が描きたいことは優先順位の一番最後のところ、奥の方に ”忍ばせている” のだ。 ← 私もこのタイプ

もし、経済活動や周囲からの評価をまったく無視して創作できるのであれば、
当然のように作者の本意が優先順位の筆頭にくる。

周囲を寄せ付けず、己と向き合い続ける絵画や彫刻、陶芸などの世界は、その意味でも
経済活動のギリギリ隅っこにいるわけで、何とか成立できているという感じ。
( 現代アート&コレクションなんかは、また違ったコアな経済活動ですけれど )

 

 

庵野さんは、そんな作家たちの内面を
動画の中で分かりやすく、どこかあっけらかんと説明されていた。

 

やっぱカッコイイですね。

 

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