2020.3.24
ニワトリとタマゴ
俗に言う『 ニワトリとタマゴ、どっちが先か~? 』
いま建築設計業界のなかでも
『 設計契約と無料提案(プレゼン)、どっちが先か~? 』 という話が
ちょっとしたトピックになっている。
つまり
”まず無料の範囲内で提案内容を見てから、正式に設計依頼を判断したい ” と考えるクライアント側と、
”顧客獲得のための無料サービスとはいえ、ひとたび提案作業となれば数週間の時間とエネルギーが掛かる。
もし獲得出来なかった時のリスクはあまりに大き過ぎる ”
”あくまでもクライアントに明確な建築意思があった上で、設計契約を目的とした相談でない限り
そう簡単には作業に取り掛かれない ” と考える設計者側との、
双方の事情・利害が絡み合った問題。
そう、どちらの主張も間違ってはいない。
最近は、こうした類の紛争事案があまりにも多くみられるため、
業を煮やした建築支援の諸団体から
”準備業務(無料)と本業務(有料)を区別して、クライアントと情報を共有すること~ ”
”最初にクライアントの建築意思をよ~く確認して、設計契約を締結した上で本業務に取り掛かること~ ”
と、お達しが出される始末。
でもね~ そう簡単に言われましても、このご時世に
”まず設計契約してくれなきゃ、一切提案はしませんよ~ ” なんて「 固くなな姿勢 」で
どれほどの顧客が獲得できるというのか・・・ 現実はそう甘くない。
もし自分がクライアントの立場なら、きっと同じことを設計者へ求めてしまうだろう。
そりゃあ一生に一度の大きな買い物で、何十年ローンを組むっていうのに
より慎重になる姿勢は当然のこと。
だから建築の世界って、何が問題かと言ったら
『 建築は一品注文生産であるにもかかわらず、
完成イメージをクライアントと完全に共有することが大変難しい(実物の試作が困難)』 ってこと。
いまハウスメーカーがよく国道沿いでやっている「 住宅展示場 」には実物の試作がそこに建っている。
しかしイメージこそ完全に共有できるものの、まだまだ一品注文生産の域ではない。
これから「 5G 」へ突入していく時代、
果たしてVRやARの仮想世界でイメージ共有を図ることになっていくのだろうか、
設計図なんて全部AIに描いてもらったりしてね・・・。
まぁ、ヒトの創造力だけは退化せずに、進化する方向でよろしくお願いしたいものだ。