福岡市は天神中心街から徒歩15分の閑静な住宅地にオープンしたNYスタイルのカフェである。
NY発祥の「THE CITY BAKERY」は、この数年、日本国内店舗においては東京・大阪と着実に展開され、この度晴れて九州地域へ初進出となるセントラルキッチンを含む第1号店舗が計画された。
店舗は並木通りに面する築20数年のRC6階建ての1~2F部分へのテナント入居が選ばれ、建物上階は共同住宅として用途が異なる。ここには以前にも飲食店テナントが入居しており、そこへ一部ピロティを含む合計100坪程のリノベーションプロジェクトとなった。
店舗の在り方についてクライアントから求められたことは「古くからそこへ佇んでいるような必然性」であった。
外観は既存外壁をセットバックさせ前面道路の歩道並木を採り込みながらオープンテラスを設け、ウッドデッキとオーニングのみでシンプルにファサードを構成している。
店舗インテリアはNYのSOHOに準えてインダストリアル=インテリアが基調となっている。建物の経年変化をそのまま実感できるようコンクリート躯体(=スケルトン)をできる限り現わし、天井に大きく架けられた既設の構造床梁は、それ自体を白く塗り上げることで空間にアクセントを与えた。
*現在は都合によりセントラルキッチンのみの稼働となっている。
(松本 健志)
photo:針金洋介