2021.5.12
知床旅情
それは間違いなく親父の仕業だった・・・
5月、とある日の未明。
私は親父の車の運転席に乗り込み、下の姉が助手席に
上の姉が後部座席に座った。
エンジンを掛けると突然
沈黙を破るようにカーステのCDから曲が流れ出した。
・・・ 知床旅情(加藤登紀子)だ。
親父が大好きな曲で、
本人は運転しながらよく口笛を吹き鳴らしていた。
つい15分前に
病室で医師から、親父の臨終を言い渡された我々家族一同。
みんな動揺したまま、いったん実家に引き上げようと
2台の車があるうち、なぜか姉弟3人揃って
親父の使っていた車の方に乗り込んだ、丁度その時だった・・・。
親父から子供たちに向けた惜別の一曲・・・ そう直感した。
あれから今日でちょうど10年。
今朝、スマホで知床旅情をダウンロードして
午前中からそれを聞き流しながら仕事に耽っている。
父さん、緊急事態宣言が止んだら、また墓参りに行きますんで。